調査者資格 有資格者数の推移と今後の展望
現在の有資格者数
建築物石綿含有建材調査者の資格を持つ人は令和6年9月時点で約23万人です。
建築系の代表的な資格とその数を比較してみます。。
一級建築士 37万人
一級建築施工管理技士 32万人
一級土木施工管理技士 32万
※ 参考
これは建築系ではありませんが最難関と言われる2つの資格の資格者数を見てみます。
医師免許所持者は34万人
弁護士資格所持者は5万人 以上参考まで
この様に調査者資格の所有者数は、建築系の大型資格に迫る勢いで、もはや建築に携わる人には必須の資格と言えます。
資格者数の推移と今後の展望
この23万人という数字を1年半前の令和5年1月時点と比較します。この時点では資格者数は9万人でした。つまりこの1年半で2.5倍に増えています。これは「大気汚染防止法」に基づく「石綿障害予防規則」という法律が改正されたからです。
これまで建築物の石綿含有建材の調査は有資格者でなくても調査・報告をする事ができました。これが令和5年10月からは有資格者でなくてはできなくなり、無資格者による調査・報告には罰則が設けられました。これに乗り遅れまいと駆け込み需要が発生しました。このため令和5年は資格者数が最も増えた年となりました。遵法意識の高い大企業の方々は殆どこの時期に取得しています。
今後の資格者数の推移の展望ですが、この資格は日本国内に石綿含有建材が残っている以上必ず必要になる資格です。したがって資格の需要も根強いものが有ります。令和5年の資格所得ラッシュともいえる爆発的な増加は見込めないものの緩やかに増加していくものと考えられます。
石綿建材が最も多く使われたのは1970年代から1990年代です
解体の周期を50~60年と考えると1970年代に建てられた建築物は2030年あたりに解体のピークを迎えます。更に1980年代。1990年代に建てられた建築物の解体のピークはその10年後、20年後となります。
石綿の使用が全面禁止になったのは今から19年前の平成18年です。それ以前に建てられた石綿含有の建築物は数千万棟に及び、これらのほぼ全ての建築物が解体、改修時には調査が必要になります。
石綿の全面使用禁止となった2006年(平成18年)以降に建てられた建築物は、目視調査は省略できます。この時期以降着工の建築物の解体のピークは今から40年後の2065年あたりから始まるものと思われます。
この時期以降の建築物は石綿無含有が建前ですから、調査も書面調査のみになります。現地に赴いての目視調査は必要なくなります。
しかし書面調査のみといっても、これも調査者資格がなければできないのです。したがって調査者資格は日本国内に石綿含有建材が全て無くなるまで必要です。これは何十年先になるか、何百年先になるかは誰にも分かりません。